« 2013年2月 | トップページ | 2015年2月 »

2013年8月21日 (水)

Life of their own

中森明菜の「DIVA」に次のような一節がある。

悲しみさえその力に変えていける take your way」作詞:Ryohei Matsufuji

このフレーズに聞き覚えがあると思って思い出したのは「原始、女は太陽だった」の一節。

「太陽が昇る 裸の胸に いま哀しみさえ生きる力に変えてく作詞:及川眠子

この逆境からの再生というイメージは中森明菜本人に通ずるものがある。

しかしマイナスからプラスにもっていくためには想像以上の消耗を伴うのも事実である。

確かに彼女は失意の中から立ち上がるだろうが、喜びにとどまることがまた困難であろうことを誰しもが予想するのである。

おいしい水」という歌がある。

何も感じない女になれたら ときめきと引き換えて かまわない」作詞:Mariko Okabe

自分の繊細さゆえに辛く苦しい思いをするのである。

それが当たり前になっていることを嫌悪しているのだろうが、そこから抜け出せるわけではない。

何も感じない女になんてなれっこないことは本人がいちばん分かっている。

同様の状態は「赤い花」においてよりいっそう過激な願望となる

「あたしをいっそ切り裂いて 何も感じないほどの 傷をつけて去って行ってよ」作詞:川江美奈子

そう、彼は何もせずに去って行った。

そしてそのことは彼女の心により深い晦渋をもたらす結果となった。

中森明菜にはこうしたHeart Breakな内容の歌がとても多い。

もちろん作詞家にとってHappyな出来事よりもそうでないほうが詩になりやすいということは差し引いても‥

弱さを見せないためにはどうすれば良いか。

虚勢をはるというのとはまた別なのだろうが、ある種の演技が必要になるだろう。

Trust Me」の歌詞にこんな部分がある

「だけど少しは冷たいふりをしないと私らしくない」作詞:夏野芹子

私らしさとは何だろうか。

嘘つき」にも次のような歌詞がある。

「何度も確かめてる 鏡に映してみる 私らしさを纏うための術作詞:川江美奈子

この歌ではそんな自分の本当の姿を相手にわかって欲しいという願いが歌われている。

セルフイメージは自分自身で作り上げたものなのだ。

Crazy Love」の歌詞にもあるように。

Crazy Love つまずいて Crazy Love 立ち上がり

  Crazy Love またひとつ Crazy Love 手に入れる

        私だけのカラー 自分自身の人生作詞:遠藤幸三、Miran:Miran

| | コメント (0)

2013年8月18日 (日)

Desire for flight

人間は泳いだり走ったりできても飛ぶことはできない。

昔から「飛翔」に対する憧れは人類共通の物であり、ダヴィンチの考案した飛行器具類やブランクーシの一連の飛翔する彫刻たち、さらには天使の持つ翼もみんな憧れから生み出された物である。

中森明菜の楽曲の歌詞にもしばしば飛翔への思いや憧れが歌われている。

Love Is The Mystery

翼ひろげて

光る海を 越えるわ

すこし不安よ

「北ウィング」作詞:康 珍化

赤い鳥が逃げた Fly Away

愛のカゴをあけて 空へと

赤い鳥が逃げた Fly Away

銀の涙 翼ぬらして

赤い鳥が逃げた

いつかふたりで見る 夢をさがして

「赤い鳥逃げた」作詞:康 珍化

翼を広げて 火の鳥が行くわ

地の果ては 何処までか 答えてはくれないの

「SAND BEIGE -砂漠へ-」作詞:許 瑛子

そうよ Save You, Save Me

鳥のように

もいちど 空

飛べそな メロディーだね

「La Boheme (ラ・ボエーム)」作詞:湯川 れい子

折れた翼 広げたまま

あなたの上に 落ちて行きたい

「難破船」作詞:加藤 登紀子

だけど私は鳥よ

生まれ変わる前はきっと

La Liberte

この背中 証しがあるわ

Ma Liberte

わかるでしょ? ふたつのほくろ 翼のように

「La Liberte」作詞:森 由里子

あなたの背骨に Kiss してあげたい

翼のもがれた傷跡みたい

昔むかし産まれた時はみんな天使だったのに

独りぼっちで生きていくうちいつか飛べなくなるわ

「無垢」作詞:田久保 真見

折れた翼 もとに戻せるなら

二人の夢も また変わるのに

「帰省~NEVER FORGET~」作詞:atsuko、鈴 康寛

1984年から1998年までの楽曲だが、何人もの作詞家たちが翼や鳥について、また飛翔のイメージを描き出している。

とりわけ「難破船」と「帰省」に歌われている「折れた翼」は飛翔の持つ危うさをあらわす重要なキーワードだと考える。

あるいは飛びたくともかなわない無力さのあらわれでもあるのだ。

大気圏外に飛び出すロケットならいざしらず、翼や羽を持つ鳥や昆虫たちは飛び続けるわけにはいかない。

いつかは自分の足の着く場所で休息しなければならないのだ。

つまり飛翔とはAからBに移動する手段に過ぎない。

それでも人が飛ぶことを願うのは、地面(という現実)からどれだけ離れられるかということへの思いが強いからなのだろう。

乾いてた 砂漠走り抜けて

潤った 翼広げる場所へ

GET ANYPLACE...HOWEVER

羽広げて

GET ANYPLACE...HOWEVER

見下ろせたら

「I hope so」作詞:中森明菜

Flight …… ひらく扉

Tonight …… 翼みたい

ふたり Fly! Fly! Fly! 飛び立つの Sky!

I don't care 自由な空へ

「Crazy Love」作詞:遠藤幸三、Miran:Miran(中森明菜)


この2曲は中森明菜が作詞に関わっている楽曲だが、本人も飛ぶイメージを好んでいるように思われる。

そしてその思いがポジティブなものであることも伝わってくるのでうれしく思う。

| | コメント (0)

« 2013年2月 | トップページ | 2015年2月 »