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2013年2月10日 (日)

DIVA その2

『DIVA』についてまた書く。
最初聴いたときにこのアルバムのすごさがピンとこなかったことは前に書いたが、これは全くもって私の勉強不足によるものである。
時系列的に中森明菜を追いかけていれば、ここに至る経緯が必然であったことは自明なのだが、そうしなかったことに誤りがあった。
とくにほとんどの曲の和英ミックスの歌詞の絶妙さが分かるまでは、何回聞きこんだことだろう…
まあそれは置いといて、各曲について簡単に書いてみる。

オープニングの『GIVE TAKE』の低いヴォーカルから入る凄み。かすれ気味のサビの格好良さはどう言えばいいのだろうか。
キャッチーなメロディだけど、この声が伝える静かな炎のような感情が何かただならぬものの始まりを告げている。

タイトル曲の『DIVA』は明菜ならではの囁きとシャウトのコントラストが見事な楽曲だ。アルバムヴァージョンは凝縮されて短いものだが、1曲目からの流れではこれが正解なのだろう。
なお、シングルヴァージョンでは1分ほど長く、アルバム初回限定盤のボーナスディスクに収録されたmichitomo remixヴァージョンでは7分以上の長さで展開されている。
それぞれ聴き応えがあり、どれがベストか甲乙つけがたいが、結局すべてのヴァージョンを聴くのが最良かもしれない。

3曲目におかれた『thinking of you』は一瞬『VAMP』を彷彿とさせるミディアムテンポの楽曲。
懐かしい明菜の声がここでは聴かれ、息詰まる展開のアルバム中では最初のオアシスのようだ。

4曲目の『REVERSE』はタイトル通りコーラスを伴ったフレーズが繰り返し歌われる。3曲目が部屋の中を思わせるのに対して、雑踏の中に足を踏み入れたような攻撃性を感じる楽曲。

5曲目にはじめて全部日本語詞の『逢えなくて』が置かれている。『あの夏の日』を思い出させるしみじみとした歌唱。
洋から和へと、中森明菜の世界は果てしなく広いことに気づかされる曲。

6曲目は一転してハードなブギーの『X lady』。なんていっても明菜の余裕あるヴォーカルが格好いいこと。
T Rexっぽい楽曲だがアレンジも良くて、この曲をステージで歌う明菜を想像するだけでも血が騒ぐものだ。

7曲目の『HEARTBREAK』はこのアルバムではいちばん一般受けしそうな楽曲で、かといって古くささはなく、何故シングルがこちらじゃなかったのかとも思わせる。
おそらく中森明菜の新しい面を打ち出すにはスケールが常識の範囲にとどまっていることがシングルを『DIVA』に譲った一因だろうと…
しかしながら名曲であることに間違いはなく、別歌詞同曲の『Heartache』、さらにそのremixヴァージョンの3曲は素晴らしい。

8曲目の『with』はうねるようなバックの演奏も、明菜のヴォーカルも、そのグルーヴ感ではアルバム随一かもしれない。
こういう曲を聴いていると、中森明菜はほんとうに上手いシンガーであることが実感できる。

9曲目は情感あふれるサビが印象的な『茜色の風』。とても温かい気持ちにさせてくれる歌声。
ロマンティックな曲を歌うと明菜はいつでも少女のようだな。

エンディングに相応しいしっとりとした『Going home』でアルバムは終わる。
ここでも情感に流されることなく、しっかりとした歌声が聴かれる。

全十曲、トータル時間は38分という今どきのCDには珍しい短さだが、これだけの濃い内容だけに充実度はハンパではない。
3分あまりの楽曲にこめられた明菜の意気込みがビシビシと伝わってくる。
聴くほどにさまざまな発見があるのが中森明菜のアルバムであるが、『DIVA』はその最たるものだろう。

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