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2013年1月 1日 (火)

true album akina 95 best

『true album akina 95 best』は1995年の暮れにMCAビクターよりリリースされた中森明菜プロデュースのベストアルバムである。

特徴的なのは3枚組のCDそれぞれが"WILD"、"WORLD"、"WHISPER"をテーマに別々のジャケットで作られていることで、これは明菜本人が自身の歌の世界をこの3つに分けて考えていることにほかならない。

また、このアルバムで、初めて自身の過去の楽曲をリニューアルしているのだが、ワーナーからMCAビクターに移籍して2年経って、現時点での中森明菜を表現する自信が持てたのだろうと思われる。

WILD DISCではこのアルバムの1ヶ月前に発売されたシングル『Tokyo Rose』のロカビリー調に合わせるように『飾りじゃないのよ涙は』『DESIRE』はロックテイストなアレンジがなされている。

中でも『TATTOO』の変拍子などはちょっと驚かされるし、前奏だけでは何の曲か判らなかった『BLONDE』など聴きどころは多い。

WORLD DISCでも中心になるのは『la alteración』からの『原始、女は太陽だった』で、『ミ・アモーレ』でのフラメンコ調アレンジや、『TANGO NOIR』でのアクセントの効いたリズムは特徴的だ。

『二人静』は最初からドラムを効かせてオリジナルよりもアグレッシブな曲に生まれ変わっている。

WHISPER DISCには『LIAR』と『難破船』というドラマティックで重い失恋の歌が収録されているのだが、ここではどちらも実にあっさりと歌われている。

自身の投影はなく距離を置いた視点からの歌唱、過度に感傷的になるのはもう止めにしようという気持ちの表れなのだろうか。

『スローモーション』と『セカンド・ラブ』では昔の純な気持ちを懐かしむような歌い方が聴かれる。

まるで学生時代のアルバムを見ているような気持ちにさせる。

自作の歌詞である『陽炎』は乾いたギターをバックに噛み含めるように歌われている。

アルバムラストの『予感』はしっとりと情感を込めて歌われ、この曲に対する明菜の愛情がとても深いことを思わせられる。

このアルバムの発売直後に、中森明菜TRUE LIVEとして3回のスペシャルライブが行われた。

その模様は2008年発売の『歌姫伝説 ~90's BEST~』の初回版にDVDで収録されているが、もとになっているのは1996年にWOWOWで放送された映像である。

DVDは本番ステージのみの編集であるが、放送ではライブ前の明菜の表情が窺われて興味深い。

リハーサル中の不安そうな様子や本番直前の「心臓とまりそう…」な緊張感がひしひしと伝わってくる。(なおここでのBGMはWORLD DISCにbonus trackとして収録された『Shangrila』である)

おそらくは1年ぶりのライブであること(前回はPARCOシアターの歌姫ライブ)、自身30歳を迎えてのリスタート的な意味合いもあったであろうこと、ショートカットでトライした『Tokyo Rose』(これは中森明菜でなくAKINA名義でのシングル)がどこまで受け入れられているか等々…

だから『愛撫』のイントロでステージの下手から意を決したように登場する明菜の背中には強いオーラを感じてしまう。

また、『陽炎』を歌う際に流した涙も様々な思いが交錯していたのだろう。

このライブは吉田健バンドがバックを務め(オープニング3曲はMAGICがバック)演出は立川直樹という豪華なものだったが、明菜の歌唱は過渡期で完成度が高いとは言い難い。

しかしながら80年代後半に絶頂期を迎えた一人のアイドルが、次なるステップを踏み出すためには避けてはならないものであった。

1995年の中森明菜の勇気と決断に惜しみない拍手を送りたくなるライブには違いない。

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