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2013年1月 7日 (月)

赤い花

フォルクローレ風の前奏に続いて乾いたギターの調べが奏でられる。

そして明菜の歌が始まる。

「ひとりきり すくいあげる 指のあいだ こぼれてゆく日々

      あのひとが 残したのは 光りさえも 呑み込む砂漠よ」

乾ききった情景が切々と、しかし感情を押し殺して歌われていく。

『赤い花』は2004年5月にシングルリリースされた。

同年7月にリリースされた『初めて出逢った日のように』(オリジナルはパク・ヨンハ)と歌詞が異なる姉妹曲である。

もちろん曲は同じなので、どちらも良いできばえの楽曲なのだが、聴後の衝撃度は圧倒的に『赤い花』のほうが大きい。

これは両曲のアレンジ、歌詞の違いもさることながら、明菜の歌唱法の違いによるところがいちばんの要因である。

『初めて出逢った日のように』は男の視点でじっくりと歌われている(詞は松井五郎)のだが、それとは逆に『赤い花』は不幸な女の歌である(詞は川江美奈子)。

そしてこうしたシチュエーションを歌わせると中森明菜以上にうまい歌手を思い出すことは難しい。

淡々とした乾いた歌唱は、しかし、サビの部分で炎を燃やす。

「今はお願い おしえないで すべてを捨てて行ける理由を

      遠く輝いた 愛までも 嘘と言わないで

   最後の涙が落ちたなら 二度とあなたが見えないように

          歩き続けるの どこまでも 錆びた景色の中を」

かすれた声のシャウトが染みる。儚いけれど痛みを伴う歌だ。

80年代終わり頃の明菜の声ではこの歌を歌うことはできても、聞き手に伝えることは難しかっただろう。

この楽曲での歌唱は21世紀にはいってからの中森明菜の作品では間違いなくベストに入れるべきものだと思う。

2005年発売のDVD『Akina Nakamori Special Live 2005 Empress at CLUB eX

に収録されたヴァージョンでは楽曲と一体になった明菜の歌う姿に震撼させられる。

ここではもはや聴衆がいることすら忘れたように歌を吐き出すひとりの女性が映し出されているのだ。

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