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2007年9月24日 (月)

敵は本能にあり(戸川純WORLD)

久々に戸川純の歌を聞いた。
やはり彼女の歌には力があり、軽く聞き流すことなど聞き手に許されない。
それはユニークな歌唱力に負うところもあるが、何よりも戸川純本人が書いたその詩が持っている力にある。

嗚呼我が恋愛の名において
その暴虐の仕打ちさえ
もはやただ甘んじて許す
牛のように豚のように殺してもいい
いいのよ我一塊の肉塊なり


「諦念プシガンガ」より

日常を打破して具体化するエロス
本能で重ねる情事 無限地獄
アンチニヒリズムの直感認識は
潜在的幼児性暴力癖の誘発
Kiss me 殴るよに唇に血が滲む程
Hold me あばらが音を立てて折れる程
好き好き大好き・・
愛してるって言わなきゃ殺す


「好き好き大好き」より

エロスと暴力は時として自虐的破壊願望に結びついている。
戸川純にとって根源的なテーマである「女としての自分」は決してきれい事ではなく、本能に根ざしたドロドロしたものなのだろうか。

パトス滾る貴方が 凶器みたいな棒状の罪で
私の中で慟哭 漆黒の夜が荒波のよう
人間であることそれ自体が罪
時のない密室で燃える原罪 温度と湿度

夜は背徳も美徳も知らない生き物
もっと飢えて恥知らずの 人でなしになるの


「棒状の罪」より


かてて加えて 私は ブスだし バカだし
さらに言うなら 性格悪いし くどいし
もっと言うなら あなたの あなたの あなたの
あなたの迷惑考えもしない
少しも ちっとも みじんも かけらも Love you
私ら もしかしたら 一種の愛のかたちかも
いや、そりゃない絶対ない さあ、戦争だ


「ラブ・バズーカ」より

うそつきだと 言われるけど
虚言癖は 直らないの

疲れたとか 楽しいとか

神さまにお祈りをしてみようかな
私はとても悪い子だから

あす 誕生日 無事に迎えますけれど
去年の今頃も 重い身体 成長を拒否するかのよう
いつも 思春期 あす 誕生日が来るのに


「思春期病」より

戸川純の詩は決して健康的なものではないが、誰かが言わなければならないことを代弁しているのは間違いない。
当時の彼女の歌がいまだに聞き手の共感を得るパワーを持っているのはそのせいなんだ。

Togawa

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