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2006年11月 7日 (火)

Allegro con brio

このところテレビドラマでやたらに耳にするのがベートーヴェンの第7交響曲である。(月9ドラマ『のだめカンタービレ』)
この交響曲には少なからず思い出があるので・・

1812年に作曲されたこの交響曲はベートーヴェンが41歳の時の作品である。
第5交響曲で単一主題の有機的発展の粋を極め、続く第6交響曲では5楽章制をとり、尚かつ標題音楽の先駆けのような音の描写に取り組んだベートーヴェンであったが、第7交響曲では序奏部付きの4楽章という古典的な形式に戻した。
しかしこの交響曲にはいわゆる緩徐楽章が欠けており、通常であればアダージョまたはアンダンテとされる第2楽章はアレグレットのテンポである。
この交響曲が「バッカス交響曲」や「舞踏交響曲」と呼ばれるのはそのためであり、ベートーヴェンの9つの交響曲の中でもリズムを一番追求した楽曲といえる。

私がベートーヴェンの交響曲を聞きだしたのはやはり第5交響曲からであったが(たしかフリッチャイの指揮)、その後第3、第6はいずれも廉価版で、第4などは17センチLPで聞いたのがクラシック入門したての10歳くらいの頃であった。
何せ小学生の小遣いで買えるLPは安くないと無理だったので、第9は勿論のこと、第7もとても手が出なかった。
音楽入門書などでベートーヴェンの交響曲のなかでも最も面白そうに書いてあったのが第7交響曲であったため、11歳の誕生日&クリスマスプレゼントとして親にねだって買ってもらったのがフルトヴェングラー指揮、ウイーンフィルの第7であった。

東芝EMIのこのLPは透明な赤のレコード盤で、それだけでもビックリしたが、ワクワクしながら針を落として最初に出てきた音にその何倍も驚いた。
私にとってフルトヴェングラーという指揮者を知ったのはこのLPが初めてで、彼の独特の指揮やダイナミックスの凄さなどの知識が皆無であったから、とにかく左右のスピーカーから溢れ出る音の洪水に翻弄されるばかりであった。
第1楽章の序奏部では音の強弱と合奏の微妙な不揃い感が生み出す生きた音の波に圧倒される。
解説に依ればフルトヴェングラーは開始時に指揮棒をブルブル震わせて明確な開始の指示を出さないので合奏にずれが生じるのだとか。
やがて提示部に入り非常に伸びやかな八分の六拍子の第1主題が現れたときに感じる心地よい躍動感。
第2楽章は素晴らしいアレグレットで、反復されるリズムに乗って短調の旋律が変奏されていく。
澄み切った冬空のような凛とした気持にさせる演奏である。
第3楽章はスケルツォで非常に活発な主部と力を蓄えているかのような静的なトリオが交互に現れる。
そして煽り立てるような終わり方でこの楽章を閉じると狂乱の終楽章へ。

第4楽章アレグロ・コン・ブリオは冒頭の強奏でまず度肝を抜かれる。
弦で繰り返されるリズムの上を力強い主題が奏されるこの楽章は展開部を経て再現部へとどんどんリズミカルにまた激しさを増して進んでいく。
そして圧巻はコーダ。目くるめく転調の中を音が渦を巻いて行くような感じ。
やがて第5交響曲の終わりみたいなくどさもなく唐突にこのフィナーレは終わる。
小学校の同級生が遊びに来たときにこの終楽章をMAXの音量で聞かせたことがあるが、目をパチクリさせていたっけ。

その後、何人かの指揮者で第7交響曲を聞いてみたが、最初に聞いたフルトヴェングラーの演奏がいつまでも耳に残っていたのでなかなか素直に聞けなかった。
カルロス・クライバーやルドルフ・ケンペの指揮したものもそれぞれ良い演奏であるとは思っているが・・
ともあれベートーヴェンがその人生で一番幸福であった時に作られたという第7交響
曲は、この交響曲をリスペクトして作曲されたと思われるシューベルトの「ザ・グレート」ともども私の最も好きな曲である。

Yr

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