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2005年10月30日 (日)

はっぴいえんど

happyendはじめて岡林信康のレコードを聴いたのは大阪の従兄弟の部屋で、その曲は「山谷ブルース」だった。
そして東京に帰ってから駅前のレコード屋でURCから出ていた「くそくらえ節」のEPを買った。
B面は「がいこつの唄」であった。
ギター1本の弾き語りで、観客との軽妙なやりとりが面白かった。
当時のURCはこういう雰囲気の録音が多かった。

その後、生で岡林信康を観たとき彼はグループを従えていた。
その4人組は長髪で見た目もむさ苦しく、あまりステージ上では動きもなく淡々と演奏していた。
リードギターは少年っぽい人で一番大人しそうだったが、聞いたこともないようなリフを演った。
ギョロ目のベーシストはしばしば岡林とアイ・コンタクトをとって曲をグイグイひっぱていった。
彼らが”はっぴいえんど”であった。

岡林のステージでははっぴいえんどの単独の演奏もあって、「春よこい」、「かくれんぼ」などが演奏された。
岡林を聴きに来た観客の耳にはどう聞こえたのだろうか。
私はすごい新鮮な印象を持った。
岡林のバックではフォーク・ロック的な演奏をこなしていた彼らは、自身の演奏では全く異なったタイプの曲を聴かせた。
それはロックなのかどうか断定できないが....

はっぴえんどのファーストアルバム、通称『ゆでめん』で聞かれる楽曲は実験的で多彩である。
豊かな音楽性を持った細野晴臣は当初からワールド・ミュージックを指向していたようである。
いろいろなジャンルの曲を融合させて、東洋風のエッセンスを加味したような楽曲はハッとさせるような刺激は無いものの、説明できない新しさがあった。
松本隆は文学的なアプローチを試みていた。
彼の書いた歌詞は多弁であり、特にセカンドアルバム『風街ろまん』までの作品では決まり文句を極力排除しようとした結果、妙に耳に残る字余り気味のフレーズが多用されていた。
大滝詠一のアメリカンポップス指向は当初影を潜めている。
彼の独特の歌唱ははっぴいえんどの曲にウェットな感性を持たせている。
楽曲ごとに使い分けられた歌声はプレスリーの物まねをしながらグループに参加したという彼のエンターティナーな面が発揮されているのであろう。
鈴木茂のギターはほんとうに素晴らしいと思う。
自己主張しすぎることなく楽曲に鮮やかな色彩を与える音色、職人的なそのテクニックは聴き手に強い印象を残す。
彼のリリカルな一面はセカンドアルバム以降に開花していく。

こうした異なるベクトルを持った4人が試行錯誤し、独自の音楽を生み出した後、またそれぞれの方向に飛翔していった過程が3枚のアルバムとして残った。
セカンドアルバム『風街ろまん』はグループとしての完成型がみられるし、ラストアルバム『HAPPY END』では4人の目指す方向がくっきりと分かれてしまっている。
オールナイト・ニッポンではじめて『風街ろまん』が全曲オンエアされたときはびっくりしたけど(特に「暗闇坂むささび変化」!)、「さよならアメリカさよならニッポン」を聞いたときの方が衝撃は大きかった。
日本語のロックを目指したと称されることの多い彼らだが、その成果は全く新しい音楽の創造となって現在も続いている。

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コメント

はっぴいえんど時代から、敵対視されてたそうですね。
ただ大滝詠一さんだけは、そのエルヴィス博学ぶりで難を逃れたそうですけど(笑)

質問コーナーの件ですが、ティン・パンのライヴであるにもかかわらず、その大滝詠一さんについての質問ばかり飛び交う状況にイライラされてたようです。
僕が質問したのは「最近はどんな音楽を聞かれてるんですか?」、、、
ベタ過ぎましたかね(笑)

投稿: さかな | 2005年10月31日 (月) 18時54分

...何を質問されたのでしょうか(笑)。気になりますね。

鈴木茂&ハックルバックも生演奏は感心しなかった記憶があります。
ティン・パン・アレィと言えば内田裕也氏が敵対視していたことがありましたが、あれはいったい何だったのでしょうか。

投稿: Reザジ | 2005年10月30日 (日) 22時21分

数年前にティン・パンのライヴで初めて、生「さよならアメリカさよならニッポン」を聞きましたが、スタジオ盤にあった呪術的マジックがすっぽり抜けおちてる印象でした(ヴァン・ダイク・パークスが凄かったのでしょうか、、、)

同ライヴ中に吉田美奈子さんがMCを務める質問コーナーがあり、僕の質問で美奈子さんが怒りだすという苦い経験もあります(笑)

投稿: さかな | 2005年10月30日 (日) 22時07分

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