駄菓子屋
私が小学校に通っていたころ、珠算教室に行くのが流行っていた。
何の興味もなかったが、何せ友達連中が皆習っていたので私も渋々珠算を習うことにした。
ソロバンはつまらなかった。
珠を揃えるときのジャッという音は気持ちよかったけど。
(そういえばトニー谷とかいたっけ)
暗算をするときも頭の中でソロバンをはじくことは決してなかった。
その教室のとなりに「市川」というおでん屋があった。
店の前でおでんを売っていて、1本10円とか20円のおでんを串に刺してもらい、その場で立ち食いをするのである。
カレーボールとかコンニャクは10円で、タコとかギョウザとかは20円であった。
その店は明るいうちしかやってなくて、当然お酒の立ち飲みなどをする所ではなかった。
ただ店頭でおでんを売るのみで、一種の屋台みたいなものだった。
珠算教室に通う子供たちは皆その店でおでんを食べた。
小遣いのないときは奢ってもらったりした。
学校帰りのお腹には無茶苦茶に美味しかった。
あんまり美味しいので休日に鍋を持参して沢山買って帰ったことがある。
自分の家で食べたおでんはちっとも美味しくなかった。
駄菓子屋さんにもしょっちゅう足を運んだ。
「チェリオ」なんていうのを飲んだ。(ファンタとかより量が多かったから)
小さい透明な柔らかい容器にはいった変なヨーグルトも良く買った。(木のさじで食べる)
「酢イカ」とか「ソースイカ」というのもあって、頼むとおばさんが透明のつぼみたいな入れ物から取り出して、紙の袋にいれて渡してくれた。
寒天の中にアンズがはいったやつとか、試験管みたいなのにドロドロの甘酸っぱいのがはいったやつ(竹ひごで食べる)とか、タコ糸の先に大きな三角錐の飴がついたやつとか....
何軒かの駄菓子屋さんに通ったけど、どこもおばさんかおばあさんが店をやっていた。
駄菓子屋で何かを食べると必ず舌が染まった。赤やピンク、紫、ブルーなど。
いつの頃か、チクロの有害性が世間を騒がせて、その後サッカリンも使われなくなって、駄菓子の種類が減っていった。
全糖とか人工甘味料不使用とかいう文字がラベルに印刷されるようになり、何だかみんなつまらない味になってしまった。
私たちはだんだん駄菓子屋に行かなくなり、駄菓子屋も店をたたむところが多くなった。
普通のお菓子ならお菓子屋さんで買えるからだ。
小学校当時は20円もあれば何種類かの駄菓子が買えた。
学校では買い食いはやめましょうということを朝礼とかでしょっちゅう言っていたけど。
そんな言いつけを守るやつは誰もいなかった。
どれもこれも怪しい食べ物ばかりだったけど、腹を壊したやつなんてひとりもいなかった。
どいつもこいつもみんな逞しかった。
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
The comments to this entry are closed.
Comments
I have to thank you for the efforts you've put in writing this site. I am hoping to see the same high-grade blog posts from you later on as well. In truth, your creative writing abilities has encouraged me to get my own, personal blog now ;)
Posted by: best managed webhosting | January 03, 2015 02:22 PM
Good day! This is kind of off topic but I need some advice from an established blog. Is it hard to set up your own blog? I'm not very techincal but I can figure things out pretty quick. I'm thinking about creating my own but I'm not sure where to begin. Do you have any points or suggestions? With thanks
Posted by: match.com | April 06, 2015 08:46 AM